子どもの心理療法って? ―子どもの心を大切に育むための方法―


子どもの心理療法って?

 

小笠原こどもとかぞくのカウンセリングルームでは、

カウンセリングルームという名称ではありますが、「子どもの心理療法」というものをとても大切しています。

(必要に応じて、「カウンセリング」も行っています。)

 

ここで皆さんは、きっと、

 

「心理療法って何?」

「何をするの?」

「どうして大切なの?」

 

こんな疑問が浮かんだかもしれません。

 

実際に、この「心理療法」というものはあまりよく知られていません。

もっと一般的な言葉で、「カウンセリング」や「プレイセラピー」と言う方が聞き慣れているかもしれません。

 

じゃあ、「カウンセリング」と「心理療法」って同じなの?何が違うの?

「プレイセラピー」と「子どもの心理療法」の違いって?

など、また別の疑問が浮かんでくるかもしれません。

 

「カウンセリング」や「プレイセラピー」というものと「心理療法」の明確な違いや区別はなかなか難しいですし、あまり明確な区別がないまま行われている場合もあります。

 

ただ皆さん、こんな経験はありませんか?

 

「カウンセリング」を受けてみたけど、カウンセラーさんがただ頷いて話を受容的に聞いてくれただけだった。

 

「プレイセラピー」に子どもを連れて行ったけど、カウンセラーさんが子どもと一緒に遊んでくれただけだった。

 

それが全く役に立たない訳ではないし、それによって気持ちがスッキリしたり、楽になったりすることもあると思います。

 

しかし、ただ話を聞くだけの「カウンセリング」や一緒に遊ぶだけの「プレイセラピー」は、「心」というものに対して、どのように触れ、考え、理解し、育んでいくのかということに関して、何をしているのかいまいちよく分からないし、曖昧なものであるように思います。

 

「心」というものにより焦点を当て大事にしていくのが「心理療法」です。

 

私はそんなふうに思っています。もちろん、異論がある心理士やカウンセラーさんもいるかもしれませんが。

 

私にとっての「心理療法」は、「心」というものを抜きには成立しません。

そこには私の訓練と実践が大きく影響しております。

私は「子どもの精神分析的心理療法」という方法の訓練と実践を重ねてきました。

 

子どもの精神分析的心理療法は、その子どもが自らをユニークな心を持った存在として主体的に生きていくのを助けるための方法です。

心理療法では、心理士が目の前にいる子どもに眼差しを向け、子どもの心の世界を遊びや語りを通して、心理士自身の心を使って感じたことや考えたことを子どもと話し合うことで、子どもと一緒に考えながら、その子どもの心に触れ、主体性やユニークさを見つけ、生き生きとした心を育むことになります。

 

 

子どもの心理療法って具体的にはどんなものなの?

 

 

子どもの心理療法は、子どもの心の世界を自由に表現できるような環境を用意することで、子どもが安心して心理療法を受けることができる環境を整えることがとても大切です。

 

玩具の棚と机、子どもや家族が座る椅子と、担当の心理士が座る椅子が入る程の小さな部屋で、人形やドールハウス、積木、筆記用具などが用意します。可能であれば、子ども一人ひとりの個人用の玩具ボックスも用意しておきます。

 

このような環境を整えることが大切なのは、大きなプレイルームで走り回ったり、飛び跳ねたりといった身体を動かすことで、様々な気持ちを発散させる遊びに終始することは問題の解決にはならないと考えるからです。子ども自身が「心」を感じ、表現し、それについて一緒に向き合い、寄り添ってくれる他者との出会いと関係性を通して、少しずつ自分の「心」を自分で考えることができるようになっていきます。

 

週1回、同じ曜日、時間、部屋という一定の時間的・空間的な枠組みを提供することも重要です。この毎週決まった枠組みがあることによって、子どもの中でその時間と空間が自分のためにあるものだということが分かってくるようになります。この枠組みにより、心理療法の場が子どもにとっての安全基地となり、子どもが自分の心の世界にどんな気持ちがあるのかを探索していくための支えとなるのです。

 

 

では、心理療法はどうやって始めるのか?

 

 

もちろん、心理療法はいきなり始まるものではありません。

 

まず相談に訪れ、初めて心理士が子どもと家族に会い、相談に至る経緯や一体どんな問題に苦しんでいるのか、相談したい動機づけがどのようなものかなどを確認することから始まります。それに続いて、子どもの遊びや語り、担当する心理士との関係を通して、子どもの心の中の世界にどのような不安や空想を抱いているのかを見ていくことになります。

 

数回の相談で問題が整理されたり、心が楽になる場合もあるかもしれませんが、根深い問題や複雑な状況が絡んだ問題の場合には数回の相談では簡単には改善しませんし、心というものに触れていくことさえ難しい場合もあります。

 

傷ついた心を抱えた子どもや心を硬く閉ざしてしまった子ども、あるいは不安でいっぱいで混乱し張り裂けそうな心を持つ子ども。そういった子どもたちは心が上手く表現できずに身体の症状で苦しみを表現したり、他の子どもや学校での問題行動というかたちで混乱を発散したりします。

 

こういった子どもたちに対して、心理療法という方法が大いに役立つものとなります。

 

 

心理療法を通して、遊びや語りに表現された子どもの空想や不安や怒りや寂しさなどの感情に触れていくことで、子どもは自分の気持ちに気づき、その気持ちを言葉にしていくことが可能になっていくのです。自分の「心」を見つけ、自分の心の中にある様々な気持ちに気づき、それを言葉で表現できることが、子どもの心を育むことになり、その結果として子どもに現れている症状や問題の改善につながっていくのです。

 

子どもの心理療法では、このように子どもの心の世界を遊びや話を通して、子どもと一緒に考えていきます。

 

心理療法という心を大切に育む方法を必要としている子どもたち、子どもの心を大切に育てたいと望む親御さんたちに、心理療法という方法に関心を持ってもらえたら嬉しいです。

 

 

もし、心理療法にご興味ご関心がある方、何か子どもの様子を見て気になることがある方、実際に相談したいことがある方は、お気軽にご連絡ください。

 

新宿こどもとかぞくのこころの相談室ブログ「子どもの心理療法って?ー子どもの心を大切に育むための方法ー」