ユニークな子育てのススメについて、久しぶりに書いてみました。
最近いくつかのとても良い出会いがあり、自分の生き方や仕事の仕方を振り返る経験が多いんです。
活力を与えてもらえるような。
心の奥底にジンッと?ズシンッと?なかなか上手く表現できませんが、、、
とにかく、内側から響くものを感じられるような。
皆さんも、そういう良い出会いや経験が重なるような時期があったりするのではないでしょうか?
今回は、その出会いのひとつを紹介したいと思います。
ある本のお話しです。
とても心に響くし、私が大切にしているユニークな子育てを体現している本と出会えたのです。
植物観察家の鈴木純さんの『子どもかんさつ帖』という本です。
植物観察家であり、父親である鈴木さんがご自身の娘ちゃんの成長を日々の関わりを観察した記録です。
鈴木さんは、こんなふうに書いています。
「…僕は「観察」という行為が持つ重要な効果に気が付いた。僕にとっての「観察」とは、その対象をまるごと自分の中に受け入れるという意味を持つ。いまそこにある命の表現を見て、相手のことを信じていく…」
本書を読むと、観察ってこういうことなのかということがよく分かります。
とても繊細な観察から娘ちゃんを捉える鈴木さんの眼差しを読み手が追体験していくことになります。
普段見えている子どもの何気ない姿をこんなふうに観察できるのか!
鈴木さんの観察記録を読みながら、
キラキラした子どもの姿と、それを眼差す親の姿に、こんなふうに子どものことを見てあげられたら良かったなというもの想いに耽ってしまう自分がいました。
とはいえ、鈴木さんの子育てをめぐる葛藤や悩みがあったことも本書のなかには登場します。
それは当然ですよね。
子育ては悩ましいものでもありますから。
でも、そういう悩みも含めて、ちゃんと子どもと向き合いながら子どもを見ていける力を感じます。
植物観察家ならではの鈴木さんの子どもの成長を捉える視点のユニークさを取り上げてみます。
「植物の観察でもね、花のつぼみを発見して写真を撮ったとしても、それは花のつぼみが出てきた瞬間とは言えないんだよね。だって、それは僕が気付かなかっただけで、昨日もうすでに出てきていたものかもしれないから。だから、成長のことってどこか一瞬だけがあるわけではなくて、連続した流れの中にあるんだよね。切り取り方は人によって違う。ふたりの記録が線のように繋がっていくのが面白いよね」
一瞬を捉えるチカラは、変化のプロセスを見ようとする姿勢にあるんだなと感じます。
一瞬に生じたさまざまなことを捉えることと、しかし、そこに連続した流れを見ようとする姿勢は、子育てにおいて重要です。
子どもの成長する力を信じることにも繋がる考え方だと思います。
いちいち、頷いてしまう自分がいます。
さらに本書には、すごく貴重な子育て論が掲載されています。
夫婦の対談です!
この鈴木さんと奥さんの対話もとても面白い!
「…自分たちがやってることが、子どもにとっていいことかどうかなんて、本当は分からないよね」
そう語る鈴木さんに対して、奥さんも、
「…分からないからこそ娘の観察をヒントに、その方法を探っていくしかないかもね…たぶん大丈夫なんだよ。子どもの中には、自ら成長する力がちゃんと備わっているから」
とても大切なことを教えてもらえます。
夫婦の対談からも、鈴木さんたちが子どものさまざまな姿を不思議に思える力やそれを時に不安になりながらも、大丈夫と思える力、それまでの子どもの姿から成長という流れをしっかりと見てきたからこそ、子どもを信じられる力があるんだということを強く感じます。
子どもをよく見る、感じる、考える。
その間をぐるぐる回っている感じ。
同時にそれを機能させてる感じと言えば良いでしょうか。
伝わりますかね?この感覚。
鈴木さんの観察と語りは、とてもユニークです。
さすが植物観察家だと、その生き方がそのまま子育てに反映されていると感じられます。
私もこんなふうに子育てし、子どもを観察し、奥さんと対話し、こんなふうに本を書いてみたいと思いました!いつかきっと。
でも、こんなふうにはできないし、書けないだろうな。
私には私のユニークさ、私の家族のユニークさ、その中でのユニークな子育てのかたちがあるわけだし、それでいいんだろうと思います。
鈴木さん、とても貴重な、そしてユニークな子育て観察の記録をありがとうございます。
ユニークな子育てを考える上で、私のなかでオススメの一冊となりました。
(鈴木純『子どもかんさつ帖』アノニマ・スタジオ,2023より)
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