自分事としての心理臨床を生きること、そして、心理臨床の未来への夢想


私は、子どもの精神分析的心理療法士としての実践と訓練を続けてきた。

 

その過程の中で、2023年5月に東京都渋谷区千駄ヶ谷にて「小笠原こどもとかぞくのカウンセリングルーム」を個人開業した。

 

 

その流れで、JFPSP日本精神分析的自己心理学協会が運営する精神分析を学ぶための動画配信サービス『アナリスト』の特別企画「開業・私設臨床家に必要なこと」のゲストスピーカーのひとりとして公開収録に参加する貴重な機会をいただいた。

 

他の開業臨床家たちとの対話や自身の内的対話を通して、個人開業というものは、改めて、それぞれの臨床家の実践と訓練の過程によって積み上げられた個人的な経験に基づいた信念および理念に根差したものであるということを実感した。

 

皆、それぞれに自分事として人生および心理臨床に向き合い、自分に根差した臨床の場を創造することに専心しているということ。

 

しかし、それは自分本位なだけでなく、その地域社会の中にどう関わっていくか、どのように相互主体的な関わりを構築し、他者と共に生きていくか、そして、生き残っていくかというテーマに通じている。

 

 

臨床家が自分の仕事を自分事として生きることで見えてくる他者とのつながり。

 

 

このテーマはとても面白く刺激的である。

 

 

私の場合は、それが個人開業というかたちでの営みであるが、決して、個人開業がすべてではないと思っている。

 

私は若手臨床家たちの育成にも関心を持っており、いくつかのグループを主催している。グループによる学びの場を提供することで、それぞれが自分事として自分の臨床に臨んでいけるためのこころの土壌を耕している。

 

それぞれのメンバーたちは、各々の臨床の場で自分たちの精神分析的な心理臨床を実践しようともがいている。ある人は学校臨床という場でその人の自分事としてスクールカウンセラーの仕事を精力的に実践しているし、過酷な現場である児童福祉領域で子どものこころの基盤を立て直すことに尽力している施設セラピストもいる。

 

 

それぞれの自分事としての臨床実践を突き詰めていくことは、心理臨床の未来を発展させていくために大切なことのように思う。

 

 

※JFPSPのメルマガ用に書いたコラムをより多くの方に読んでいただければという想いから、JFPSPにも許可を取り、ここに掲載している。

 

専門家に向けての夢想。「自分事としての心理臨床を生きること、そして、心理臨床の未来への夢想」。その地域社会の中にどう関わっていくか、どのように相互主体的な関わりを構築し、他者と共に生きていくか、そして、生き残っていくか。